「立ち聞きするつもり…なかったんだけど、聞いちゃった…。」

 なにを聞いたの…?

 あの1人言…?

「海…。幸せに…なりたいな…。」

 見た目からは想像できないくらいの低いけど、甘い声。

 空の言葉は私の胸の中に溶けてしまうほど…優しくて…。

 また、涙が溢れた。

「…っ…。」

「泣くなよ…。」

 大きい手が私の頭を撫でる。

 その手は大きいだけじゃなくて、とても…温かかった。