それは、私に向けて放った言葉だとすぐにわかった。

 辺りを見渡せば、私と彼の2人だけだったから。

 止まった足に押し寄せる波。

 ぶつかる度に小さなしぶきをあげた。

 …この人…誰…?

 見覚えのない顔。

 知らない声。

 あなたは…誰なの?

「こんな夜中に水遊び?」

「………。」

「無視?まぁ、いいや。」

 なんなの…?この人…。