オレの周りにいる女は、『キャーーー!!』や『カッコイイ……♪』等と騒ぎ立て、落ち着きなんかまず手に入らない。


でも幹居は全然そんな事無くて、楽チンだった。


名残惜しくも信号が青になり、オレも帰ろうとした。


けど――――……


「千梨っ!」


ちょっと先まで歩いてた幹居が、明るくオレの名前を呼んだ。


顔だけ幹居の方に向けるオレ。


「私の事も“連香”って呼び捨てにしていいよ。千梨が良ければだけど!」


幹居は胸元で手を振って、走り去って行った。


「…………マジで?」


呆然となりながら呟く。