だって、そっくりだ。



金髪の髪に、スカイブルーの瞳。

着ている服は、ドイツの軍服にとても似たようなものだった。それを隙なくきっちりと着込んでいる。

この服が真っ白で、王冠とかつけて白いマントをつければおとぎ話の王子様の姿そのままなんだけれど、残念ながら着ている服はシンクの瞳に似た赤だった。
ボタンやカフスや胸に付いた数個の勲章の金が、その赤に映えていいアクセントになっている。


「お兄様!」


私の判断は正しかったようで、レティが目の前の人物の素性を明らかにしてくれた。


「レティ、少し外に出ててくれないか?」

「でもお兄様、異性と部屋に二人きりというのは……」


とんでもないことを口にするレティの言葉を遮ったのは、とても低い「レティ」とその名前を呼ぶだけのお兄さんだった。
たった一言なのに、有無を言わせない感じがするのは王子様だからなのだろうか。


っていうかレティ、私にだって選ぶ権利があると思うんだ。とはやっぱり雰囲気を読んでいうことはせずに心の中に留めておく。


レティがしぶしぶと言った体を隠すことなく部屋から姿を消すと、お兄さんはくるりと私に向き合ってにっこりとほほ笑んだ。