入学式の朝。

今日も母親の甘ったるい声で目が覚める。





………あ。



起き上がって目をやった窓の外

私服のまま川沿いへ向かう竜胆の姿を見つけた。



「竜胆!!」



マンションの7階からじゃ

豆粒ほどにしか見えない彼女は

僕の声が聞こえてないのか

聞こえないフリをしているのか

振り返らないまま視界から消えた。







高尾 雪割【タカオ ユキワリ】

高尾 竜胆【タカオ リンドウ】



今日から高校生。