ブワッ……。 また、風が吹く。 私の髪が風になびいている。 「夏くん……ごめんね」 さっきまで出てこなかったはずの言葉が口から出た。 「ごめん、ごめんね……あの時、私が助けていれば……っ」 一言口から出たら、止まらない。 「助かったたずなのに……っ、私のせいで夏くんは……」 私、さっき手紙に書いたのに。 いくら過去を悔やんでも仕方ないって。 でも、死んだはずの夏くんを目の前にすると、謝らずには いられなかった。