「あれ?俺寝てた?……って月森なにしてんの?」







勢い良く手を引っ込めた私は変なポーズになっていた。





「え?いや、な、何だろうね……あはは」








もう、こうなったからには笑って誤魔化すしかない。
だって、片瀬くんに触ろうとしてましたなんて下心丸出しみたいなこと言えるわけないじゃない!







あきらかに「引くわー」って思われるに決まってる!







「でも、よかった。月森が元気そうで!さっきは焦ったんだからなー急に走っていったと思えばいきなり倒れるしー」








「うん。あは、だめだな、私。

ちょっとしたライターの火でも手が震えちゃうことがあって……料理とかするような時は大丈夫なんだけど、大きい火だとそこから動けなかなっちゃって……なさけないよね」










自然と涙が頬を伝って落ちていく。





「ほんと、なさけな……っ!」










気がつくと私は片瀬くんの腕の中にいた。











「そうやって、強がんのやめろよ。せめて、俺の前では少しくらい素直に甘えろよ。




月森が辛いと……俺も辛い。」











……だめだよ片瀬くん。
そんなに優しくされたら、諦められなくなっちゃうよ。

悪魔のような甘い囁きと天使の悲痛な叫び。













もう、後戻りはできない────