叔母さんは少し押し黙って、口を開いた。



「勝手にしなさいよ。私の視界からとっとと消えてちょうだい。」



私は何も言わなかった。

そのかわりに、今度こそ戻って来ることはないであろうこの家をしばらく見つめる。


冷たい風が木々をざわつかせる。


どんよりとした雲は、まるで今の私の気持ちをそのまま移しとったかのような薄暗さだった。



「月森。」



沈黙していた中、片瀬くんが1番に口を開いた。