何も持っていない私を見て、不思議そうに問いかける。



「今は、それどころじゃないの!!とにかく早くここからっ「月森っ!!後ろっ!!」」



私の言葉に被ってきた片瀬くんの声が聞こえたときにはもう手遅れ。


私を追いかけてきた新条が背後に立っていた。



「どこに行くつもりだ?恋人と楽しく駆け落ちでもするのか?あ゛ぁ゛?」


私の首をすっぼりと包んでしまうほど大きな手で私ののど元を掴む。



「…っく…あ…っ」



苦しくて、ただ足を宙で蹴ることしかできない。