新条は蹴られてうめき声をあげた。


その途端に少し腕の力が緩んだ。


その一瞬間を私は見逃さなかった。


とっさにドアに向かって走り出して、体当たりでドアを破る。



バァンッ!!


勢いでふらつきながらも走って、なんとか捕まらずに逃げ出した。


玄関を少し出たところに片瀬くんがいた。



「…かた…せくん!!ゴホッゲホッ…」



ほっとして気持ちが緩んでしまったんだ。


いま、自分の置かれている状況も吹き飛んでしまうほどに…。



「月森声…!!あ、それより荷物は??」