そう言っても片瀬くんは黙って前を向いたまま足を止めないで早足で歩き続ける。 すると、あまり使われてなく、人気のない教室に入ると、やっと片瀬くんの足が止まった。 立ち止まっても、片瀬くんは私に背を向けたままだった。 『…かた…』 名前を呼ぼうとした瞬間、私は片瀬くんの腕の中にいた。 え…な、に? 困惑する私に、片瀬くんはようやく口を開いた。