「うわー…風強いなー…。」


「……鬱陶しい。」



グランドに出ると爽やか…とは言い難い風が吹いた。


僕の髪を舞い上げて通り抜けていく。

そんな僕を置いて、君は早々とグランドの真ん中に走っていった。



「気持ちいー…。」



君は真ん中に突っ立って、目を閉じた。

その姿が、太陽に照らされて綺麗だった。

立ち止まって遠目で見ている僕の横を通りすぎていくクラスメイト達。



「あいつ、黙ってれば可愛い顔した奴なのになー…。」


「あいつと一緒にいる奴がなー…。」


「そうだよなー…。」



僕のことか…。
そんなこと言われなくても僕が一番よく分かってるよ。

君に僕は不釣り合いだなんて。



「なにしてんだよ!!こっち来いよ!!」


「…はいはい。」



元気に俺を呼ぶ君にゆっくり近づいて行く。

その行動一つ一つをクラスメイトが見てくる。


そんなに珍しいか。
僕が動くことが。


そう思いながらも、笑っている君に近づいていく。



「君を見ているとみじめに思えてくるよ。」



小さい声で呟いた僕の声は誰の耳にも入りはしない。