「でも俺はお前の歌すきだけどな。」
『ふっ、そんな風に言ってくれるのアキラさんだけですよ、
つか照れるんでやめてください。』
アキラさんは俺の
専属スタイリスト兼ヘアメイク。
歳もまあまあ近くて
話しやすいし兄貴みたいな存在だ。
「ほれ完成だ。今日も、
いい仕上がりだな。」
『たまには好きな
格好したいなぁ…。』
「え、今日の気に入らなかった?」
『いや、アキラさんの選ぶ
衣装すきだよ?たまには
普段着てるようなさ・・・』
「翔・・・。」
『もうメイクは終わってんだ、
翔じゃねーよっ!』
「・・・ライブがんばれよ。」
『はい。』
ガチャ
ドアを開けた。
歓声が聞こえる。
スタッフのもとへ行き
挨拶をすませ、
いざステージへ。
俺は今日も「Alice」をやりきる、
ただそれだけだ。