この世で生きていこうと思う理由は主に三つあった。
1つは、私がこの城主のいる城の忍び軍の頭であるということ。
もう1つは、私を慕ってくれているたくさんの仲間たちがいるということ。
そして…
「ゆい」
「…ッ、龍!」
最後の1つは大好きな彼がいるということ。
彼というのは昔からの幼馴染であり、同業の龍。
龍はどこの忍びにも所属しておらず、ふらふらと自由に各国を飛び回っている。
でも、それでもこの城の近くまで来たときは話す。
それが私のちいさな希望であり、とても大きな幸せだった。
「ゆい、元気そうでなにより」
「龍こそ!」
「相変わらず、変わっていないな」
声も低くなり、背も高くなった。
でもそれでもふわりと笑うその笑顔だけは変わっていない
.