「ちょっと出てくる!」
「え、副社長!?」
そんな社員の声に反応もせず、俺は車に乗った。
確か蝶華の倉庫は───。
俺の車に蝶華の奴らが注目する。
あ、コイツらか。隠蛇って。
優里だけは、俺に気づいていない。
「優里、もうやめろ」
声をかけるが、そんな俺の声に気づかない優里。
ちっ、コイツか。優里をこうしたの。
「もう、いいだろ?」
何も映してない瞳の優里…妹に、話しかける。
「はあ、こんなこと…したくねえのに」
それでも反応を見せない優里に、俺はため息をつきながら。
ドスッ
「ごめんな、優里」
鳩尾に重い一発をいれる。
優里は静かに目を閉じた。
「……優翔さん」
「これしか、方法はないから」
そう言って肩をすくめて見せる。
昔から、理性を失った優里を止めるには、気絶させるしか方法はなかった。
しばらくはなかったのに。
優里。お願いだから壊れないでね。
見てるの、辛いから。
side終わり