「本当はアンタに死んでもらいたかったけど…まぁいいや。大切な奴を失うのが、1番辛いからね」




そう言って音無はニヤリと笑った。


俯く顔を上げ、音無を睨む。






「ふざけんなぁあああ!!!!」

「…っ!?」




突然の叫び、そしてさっきまでとは比べられない程の殺気。


仲間である、蝶華の奴らでさえもビビる程。


音無も突然の変わりように、目を見開いている。





「……暴蝶、か」





普段は蝶の様に美しく戦い、


我を失えば暴れる様に戦う



それが、暴蝶の由来。


こうなったら、もう止められない。




がむしゃらに、暴れるように音無に拳を振るう。


泣きながら、叫びながら。


今のあたしには、冷静さのかけらすらない。




そんな、音無とあたしを余所に、他の奴らは倉庫前に止まった一台の車に目がいっていた。




「優里、もうやめろ」



バキッ



声なんて、聞こえない。




「もう、いいだろ?」



ドカッ



春日…ごめんね…。




「はあ、こんなこと…したくねえのに」



ドスッ




「ごめんな、優里」




あたしの意識は遠退いて行った。