安西学園とは、有名な不良校なのだ。
そんなところに行くのか…。
それもその学校、一応共学なのだが、不良が怖くて女子が少ないらしい。
そんなあたしに母さんは、
「優里なら大丈夫よ!あ、それと!」
そう言って何やらソファーに置いてある袋からガサガサと何かを取り出している。
………嫌な予感しかしない。
「ハイ!」と言って母さんに渡されたもの、それは…
「ウィッグ、とメガネ?母さん、これ…」
茶髪のウィッグと、黒縁の伊達メガネ。
……それも、男の。
「優里には、男装して通って貰います」
「…はぁ!!?何で」
「え、優里が襲われないため?」
疑問形で答えるなよ。
「あと“アレ”がバレたら面倒でしょ?」
「…はあぁぁぁ…分かったよ」
「よかった!あ、それと、学校は明日からよ。因みに寮生活!」
それだけ言って、母さんは部屋から出て行った。
え、明日から?寮生活?
「………マジかよ」
─────と、言うわけなのである。