「……もしもし」
「俺だ」
そう言うのは、俺の親父。
こういう時は、大体仕事のことだ。
「仕事だ」
「はい。今度は…」
「太田組を潰せ。詳しいことは家で話す。今から来れるか?」
「分かりました。今すぐ帰ります」
電話を切り、荷物を持った。
「俺、帰んな」
「……っ分かった。送「いい。帰れるから」」
そう言って、俺は倉庫を出た。
向かうのは俺の家───九条組本家。
「若っ!お帰りなさいやす」
「ただいま、昴」
俺は、全国1の力を持つ九条組の若頭。
組長は俺の親父で、九条哲哉(クジョウ テツヤ)
そして九条は裏のトップだけじゃなく、表のトップでもある。
俺の母さん───九条真由美(クジョウ マユミ)は、世界でも有数な九条グループ社長。
因みに俺の兄貴、九条優翔(クジョウ ユウト)が次期社長で、現副社長。
何故兄貴ではなく、女の俺が若頭なのかはまた今度。
組長部屋の前でメガネをとり、中にいる親父…組長に声をかける。
「組長、ただ今戻りました」
「入れ」
そう中から声が聞こえたのを確認して、襖を開けた。
「すまんな突然」
「いえ、今日の仕事は?」
「あぁ、早速だが───…」