「……へえ。お前、知ってんのか」
「確かにここは幹部室です」
佐賀野と真辺が言った。
知ってるに決まってんだろ。
つい最近まで俺もここにいたんだから。
“蝶華の総長”として。
……なんて、口が裂けても言えねえけどな。
「幹部と、幹部が認めた奴しか入れないんだよ!」
「だろ?だから俺は入れない」
ニコニコしている魁斗にそう言うと、魁斗は「何で?」とポカンとした表情になった。
いや、俺のセリフなんだけど。
「俺らが良いっちゅーたらいいんよ」
「はあ?」
「やから、優哉は入ってええの!」
「あ、ああ…」
西神はそう言いながら俺の背中を押した。
よろつきながら部屋に入る。
…なんでだ?
俺、素性も何も話してねえし、好かれるようなことは何もしてねえ。
第一、元蝶華の俺は多分コイツらの敵だ。
「優哉も座りなよ」
「…どこに?」
この部屋は家か?
ソファーにテレビ、テーブルに冷蔵庫まである。
「優哉は僕の隣ね!」
「あ、ああ」
「じゃあその隣俺ー!」
「マジか」
結局俺は魁斗と西神に挟まれる形となった。