あぶねえ、思わずコウって言いそうになった。
怪しまれるよな。
「何でお前にコウさんが…?」
「転校生だからじゃねー?つーか、コウさんって…」
天海の“コウさん”に笑いが込み上げてきた。
だってコウ“さん”って!柄じゃねぇだろ…。
「あっそ。…何笑ってんだよ」
「い、いや、別に!」
そんなやり取りを天海や佐賀野としていると、藤堂の顔が曇ってることに気づいた。
どうしたんだ?アイツ…。
「ね、優哉。僕達のこと、怖くないの?」
「どういうことだ?」
「だって…僕達、暴走族だよ?琥珀だよ?県No.1だよ!?」
藤堂は不安そうに叫んだ。
あぁ、そういうことか。
そんな心配いらねぇのにな。
俺だって、族には関わってたし。
「俺を周りと一緒にすんな」
「え…」
「別に怖くなんかねえよ」
だってコイツら、正統派だろ?
すると藤堂はニコッと、可愛らしい笑顔を見せた。
不安は取れたんだと思う。
「優哉、ありがとう!」
「別に…」
「優哉、照れとんのか?」
ニヤニヤしながら西神が言った。
マジコイツウザい。
「照れてねえよ馬鹿。うぜー」
「何で!?何で俺だけ態度酷いん!?」
あ、ヤバい。いつの間にか馴染んでた。
結局俺は、この世界が好きなんだな。
ごめんな…春日…。