如何に強者揃いの天神学園の面々でも、仲間を盾にとられては手も足も出せない。

強くはあるが、優しさも持ち合わせる。

龍太郎はそんな彼らの良心を逆手に取ったのだ。

手下に命じ、龍太郎がまず最初にやったのは、学園の庭師が手塩にかけて育てた『桜』を切り倒す事だった。

『桜』はただ咲き誇るだけでなく、学園敷地内での争いや諍いをなくす『結界』の役目も果たしている。

その『桜の結界』を奪う事で、天神学園の守りを奪う。

この世界の龍太郎は、どこまでも狡猾だった。