「まじで?」
「うん。よかった、一緒で」
深い意味はなかった。知り合いがいる心強さから出た言葉だった。
でも、次に増岡君から出た言葉は、意味を持っていた。
「それ・・・・・・タケルの親友だから?それとも、俺だから?」
意味を持っていた。でもその意味が、あたしにはわからなかった。
「・・・・・・え?」
理解できずに、あたしは増岡君の顔を見て呟く。
タケルより少し高い位置にあるその顔は、真剣にあたしを見ていたが、すぐにはっとした表情で目を反らした。
「や、ごめん、なんでもない」
「タケルに言っとくよ」、そう言って彼は階段の方に向かう。
あたしは訳が分からずに、ただ「うん」としか言えなかった。