「結果はまだだけど、受かるだろ、マスなら」
「そうだね」
「そしたら、マスも行っちゃうんだな」

そうだね、そう言おうとしたけど、言葉が出てこなかった。
その代わり、あたしはタケルの手を握ろうとした。

でも、それも、できなかった。


「・・・・・・帰るか」

そう言って、タケルはマフラーをもう一度肩にかけた。
あたしも「うん」と呟き、歩きだしたタケルの後ろに着いていく。
このまま話を続けると、どうしても避けられない話にたどり着くこともわかっていた。
避けられないのはわかっていた。でも、少しでも先延ばしにしようとどこかで思っている自分がいた。


理由はわからないけど。
あと少しでも、タケルの空気を感じていたかったからかもしれない。