自分じゃ気づけなかった。まだまだだと思っていた。もっとタケルに近づける様に、もっとタケルとつり合う様に。そればかりを考えていた。

でも客観的に見てみて初めて、今の自分の立場がわかった。

確かに、学校で男の子の視線を感じる時があった。
友達から、「コウって可愛いよね」と言われることもあった。


そしてあたしは思い切って、タケルの学校に行ってみた。
いつもはなるべく誰にも会わない様に、タケルの部活が終わる時間ぎりぎりに行っていたけど、その日は初めて少し早めに着くように向かった。

いつもの階段の下。あたしは緊張で締め付けられた心臓を必死に押さえて、顔を上げて待つ。
下校中の男子生徒と沢山目があった。でも必死に顔を上げ続けた。

「え、誰あの可愛い子」
「誰かの彼女じゃね?」
「まじかよ、あんな可愛い子彼女とか、うらやましすぎ」