「えっ」、驚いて、目を見開いた。
何でここでタケルの名前が出てくるの?
混乱しているあたしに、彼はもっと驚く事を言ってきた。
「噂になってたから。木崎さん、可愛いのに彼氏とかつくる気配ないし、きっと他校に彼氏いるんだろうって。木崎さんくらい可愛かったら、あの君嶋くらいじゃないとつり合わないだろって」
「だから、ダメもとの告白だった」と苦笑して言う彼の言葉は、申し訳ないけれど半分くらいしか聞こえていなかった。
あたしが、タケルとつり合ってる?
あたしが、タケルとつき合えるくらい、可愛い?
家に帰って、改めて自分の姿を鏡で見た。
中学の頃、俯いてばかりいた自分の面影は、最早なかった。
鏡の中にいるのは、確かに可愛い女子高生だった。