傷ついたわけじゃない。そう思うのは最もだった。
つき合っているあたしですら、何でタケルはあたしとつき合っているのかわからなかったから。
でも、心の底から痛かった。苦しかった。
何でって、あたしの存在が、タケルにとって何のプラスにもならないから。
タケルの評判を下げたくなかった。
タケルはみんなの人気者で、男子も女子もみんなタケルの事が好きで、そんなタケルの選んだ女の子もまた、みんなから憧れる様な、さすがあのタケルの彼女だと思われる様な、そんな女の子じゃなきゃダメだ。
どうしたらいいか。
答えはひとつしかなかった。
あたしが、変わらなきゃいけなかった。
別れたくはなかった。あたしが変われば何とかなると思っていた。その時のあたしは、多分今よりもっと純粋だった。純粋に、タケルの事が好きだった。
多分、受験よりも頑張ったと思う。
今まであんまり興味のなかった服やメイクを研究した。
少しぽちゃりしていたから、どんな服でも似合う様にダイエットもした。
痩せたら自然と着る事ができる服も増えて、少しスカートの丈も短くできた。
そうしたら他の子がやってるみたいに、少し着崩した制服も似合う様になった。
メイクも似合う様になった。巻き髪も似合う様になった。