タケルとつき合いだして、あたしの周りは少しだけ変わった。
中学を卒業して高校に行った所で、タケルの人気ぶりは変わらない。
同じ中学からタケルと同じ高校に進んだ男子は勿論、すぐに他の学校の男子とも仲良くなったみたいだった。
他校の女子も、同じ中学の子から聞いた噂を聞きつけてタケル目当てで学校の近くに行ったり、中には早速告白して来る子もいたらしい。
でもタケルは、「彼女がいるら」と断った。
すぐにその噂は広まり、「あのタケルの彼女はどんな美少女か」とみんなが詮索し始めた。
憂鬱だった。この上なく息苦しかった。
どうにかタケルの彼女だとばれないように、なるべくタケルの学校には行かない様にした。
タケルの友達とも会わないようにした。
待っている時も、俯いて、誰にも見られない努力をした。
幸いタケルは自分の事をぺらぺら他人に喋る様なタイプではないので、彼女の話になると笑顔でかわしていたらしい。
それはあたしにとっては好都合だった。
ばれたくなかった。あたしがあのタケルの彼女だと、誰にも知られたくなかった。