海沿いの防波堤を通り過ぎた所に、小さな公園がある。
錆びたベンチとブランコ。滑り台は、錆びているからか誰も使っていない。
もう少し奥に行った所にも小さいけれどここよりましな公園があるから、大概そこが利用されている。

人のいないこの公園を、あたし達はよくデート場所として使っていた。

「ここも久しぶりだな」

タケルはそう言って、いつものブランコの前の手すりに腰掛けた。

あたしはその前にあるベンチに座る。
あたし達の定位置だった。

「あたしも久しぶり」
「来ないか、公園なんて」
「タケルと以外、来ないよ」

「そっか」、そう言ってタケルは、少し視線を落として微笑んだ。
照れている時か、少し寂しい時か。タケルは、こういう笑い方をする。

多分、今日は後者だ。