それだけ言って、タケルは小さく笑い、教室に入って行った。
「おはよータケル」という声が聞こえる。
そんな中、あたしは教室に入る手前で、自分の手のひらに落ちた紙切れをゆっくりと開いた。
それは、昨日渡したチロルチョコの包み紙。
銀紙の裏に、ボールペンで書かれた数字の羅列とアルファベットの羅列があった。
それだけだった。
それだけで、あたしの世界の全てが変わった。
色が、音が、空気が、何もかもが変わった。
あたしは思わずその紙切れを抱きしめて、でもすぐに破れてしまわないように生徒手帳の間に丁寧に挟んだ。
昨日泣くだけ泣いたのに、また涙が溢れてきそうだった。