「木崎」


ああ、絶望的だ。

きっとあたしは今から、昨日の告白の返事をもらうんだ。

そんなのいらない。ただ、卒業前に、離ればなれになる前に、自分の気持ちを伝えたかっただけなの。
わざわざ「ごめん」なんて、そんな事言わなくてもわかってるから。

そう思い顔を上げられずにいると、タケルの手があたしの視界に入って来た。
握られてる手のひら。昨日のあたしの様に。

あたしは思わず、昨日のタケルの様に自分の手のひらを差し出した。

あたしの手のひらに落ちたのは、小さな紙切れ。
ほんのり香ったのはミルクチョコレート。


「メールして」