その日あたしは、本当に体中の水分がなくなるんじゃないかってくらい泣いた。
泣いて、もう明日にはタケルの事は忘れようと思った。
どうせ卒業したら離ればなれだ。
いつかは忘れなきゃいけなかったんだ。
そう言い聞かせ、あたしはできるだけタケルに会わない事を願って、次の日校門をくぐった。
同じクラスだったから教室に行けば必然的に会ってしまう。
足取りは重かったけど、タケルは人の告白を笑い物にするような人ではない。
あたしがタケルの方を見なければ、話しかけなければ、それで大丈夫だ。
そう何度も頭の中で繰り返しながら教室につくと、廊下にタケルが立っていた。
教室に入る前に会うなんて、しかも、教室の入り口にいるなんて、なんてついてないの。
これじゃ彼の横を通らなければ教室に入れない。
そのまま回れ右をして帰ろうかと本気で思った瞬間、あろう事か、タケルから声をかけてきたんだ。
