自分でもびっくりするくらい、その言葉達は、すっと出てきてくれた。
空を見上げていたタケルは、驚いた様に目を丸くしてあたしの方を向く。
こうやって、ちゃんと目を見て話すのは、もしかしたら最初で最後かもしれない。
思わず泣きそうになった。でも、ぐっとこらえて消えそうな声で言った。
「寒いときは、甘いもの食べると、少しは暖かくなるんだって。だから、食べて」
「・・・・・ください」、そう言うと同時に、あたしは今度こそ駆けだした。
自分の足音だけがやけに大きく聞こえる。心臓に響く様なその音を聞きながら、堪えきれずに涙を流した。
きっと今日が最後だ。
タケルと話すのは、タケルが自分と話してくれるのは、タケルと目が合うのは、さっきの告白が最後だ。
そう思うと、次から次へと涙が溢れて止まらなかった。
そんな自分を見て初めて、あたしは自分で思っているよりずっと、タケルの事が好きだった事を知った。
好きだったんだ。ほんとに好きだったんだ。
些細な会話も、彼の表情も、全部全部覚えているくらい、彼の事が大好きだったんだ。