タケルが私立の男子校に行く事は周知の事実だった。
ずっとやっているサッカーの推薦で早くに決まっていた。

必然的に、女子で同じ学校に行く生徒はいなくなる。みんな、タケルと離ればなれになってしまう。

卒業も控えた2月。みんな、焦っていた。何とか、タケルの中に自分を残そうと考えていた。

告白してうまくいくと思っている子は少なかったと思う。
受験の始まる前、タケルは中2の秋から付き合っていた学校一の美少女と別れた。
理由は知らない。受験前だからだとか、タケルが男子校に決まったからだとか、色々な噂が流れたが、結局本人達の口から事実が語られる事はなかったらしい。

別れたからといって2人が気まずくなることはなく、むしろ付き合っているときと同じ様に話したりしいていたから、嫌いあって別れた訳じゃないことだけは確かだった。

だからこそ、彼女の次のタケルの彼女になれる自信は多分誰にもなかったし、告白してどうこうなるとは誰も思ってなかったと思う。