「ありがとう」

あたしも素直に笑って言った。
タケルはそんなあたしを見て、少しだけ笑顔の奥に不確かな表情を作る。
多分、あたしと同じ感情を抱いている。

何も、変わっていないはずなのに。
なのに、何が変わってしまったのか。

「いつ、向こう行くの」
「多分・・・・・・3月末かな」
「あと、1ヶ月か」

「そうだね」、あたしはそう言って足を進めた。
それを合図に、彼も足を進める。
自然と、2人並ぶ形になった。

そうだった。
ここは、こうして2人並んで歩く道だった。