「あー楽しかった」


家の前に止まった


バイクから降りて未だバイクにまたがっている彬ちゃんに笑顔を向けた


ねぇ彬ちゃん


この時、あたしの笑顔見てなに思ってた?


あたしはね、幸せだなぁって思ってたんだよ


「じゃーな。明日、迎えに行くからな」


それだけを言って、颯爽と風のように帰って行った


「付き合ってんだ?」


ずっと彬ちゃんが曲がっていった角をずっと見つめていたあたしに話しかけてきたのは遊だった


「あっおかえり....⁉」


後ろを向いて遊の姿を見たあたしは言葉を失った


遊の綺麗だった顔は殴られたのか所々に青あざができていて唇からは血が滲んでいた


「どうしたの⁉」


びっくりしすぎて声がでなかった


やっと声が出て、足も動いて、遊に近づいた


遊の唇についた血をハンカチでぬぐいながら遊に話しかける


「誰にやられた?」


始めてのことに発した声が震えていた


「直さんにやられた」


遊が直さんっていうのは直ちゃんしかいない