未だにあたしの頭をなでてくれてる大きな手


一番最初に逢った彬ちゃんとは比べ物にならないくらいに優しくなっていた


そして、一番最初に受けたあの恐怖感がなくなりあたしは彬ちゃんをいつの間にか大好きになっていた


「彬ちゃん今日は来てくれてありがとうね」
「んだよいきなり」


彬ちゃんの顔を見ると彬ちゃんは笑っていた


どこか意地悪なのにどこかやさしいその微笑みにあたしは吸い込まれそうになった


どこかぶっきらぼうで、普通の女の子だったら雄ちゃんみたいな優しい男が好きなはずなのに、あたしの頭の中は彬ちゃんでいっぱいだった


彬ちゃんのことしか考えられなくて、他の男の人に話しかけられてもあたしはなにも思わなかった


彬ちゃんはあたしのおでこにチュッとキスをすると瞼を閉じて眠ってしまった


彬ちゃんにキスされたところに触れてあたしはニヤッと口元がゆるんでしまった


周りの人から見たらあたしはただの変人者だろう


それでも緩んでしまった口元を元に戻すのは辛かった


この合宿には彬ちゃんの下っ端の人たちもたくさん参加していた


彬ちゃんひきいるチーム名は“龍王”


龍王のナンバーワンの彬ちゃんは、他の県にまで知れ渡る有名人だった


彬ちゃんには守るものがたくさんある


たくさんの仲間を守らなければいけない


あたしばかり彬ちゃんに助けられてるばかりじゃなくて、あたしも彬ちゃんを支えたい


あたしも強くなりたい


でも、どうやって強くなればいいのか分からなくて彬ちゃんに相談した


彬ちゃんは“お前はそのまんまでいいんだよ”っていってくれたけどあたしは理解できなかった


彬ちゃんを支えられる彼女になりたい


いつしかそんな感情があたしの感情に火をつけた