「――――――ッ....?」


あれ?痛くない


何で?


あたしが顔をあげると目の前ではぽかんと口を開けてこっちを見てる裕美の姿


え?何が起きてる?


「いつまで乗っかってんだよ」


下から聞こえる彬ちゃんの声


....ん?下から?


下に視線を向けると、頭をさすりながらこっちを見てる彬ちゃんの姿


「彬ちゃん!?」


そしてはじめて認識した、あたしは彬ちゃんに助けられたんだって


「ほんとにお前はドジだな」
「ごめんね彬ちゃん、頭痛かったよね?」


彬ちゃんの頭をあたしは優しくなでた


ふっと笑ってあたしの手を掴んだ


「こんくらい痛くねぇよ、それよりお前怪我ねぇか?」
「うんないよ、彬ちゃんが守ってくれたんだもん」


この時、すごく喜んでたあたし


今になってみれば、あんなに喜ぶほどのことじゃなかったと思う


もっともっとこの先ずっと彼はあたしを近くで見守ってくれてるんだ


「千紗ドジすぎ~」


裕美があたしの腕を引っ張って立たせた


その場に立たされたあたしはパンパンとお尻についた砂をはらって裕美を見た


「ごめん、裕美にあえて嬉しかったんだもん」


裕美の顔を覗き込むようにして『ごめんね』と言った


「まったく、もう少ししっかりしてよね」


裕美ははぁ~と大げさにため息をついて困った笑みを見せた