ズバッと当てられて後ろに後ずさると缶が転がる音が聞こえた


下を見てみると、飲みかけのビールが床にこぼれて流れてゆく


やばいっと思ったのもつかの間、あたしは下っ端の人に手首を掴まれてすごい力で握りしめられた


「――――――っ!」


痛いって声に出ないくらい痛くて、言葉の代わりに涙がこぼれおちる


「俺のビールなにけっ飛ばしてんだよ、おらぁ!」


怖くて目を瞑っていると、パッと手に逢った力がなくなった


「おめぇ女に暴力振ってんじゃねーぞこらぁ!」


あたしを助けてくれたのは、彬人さんと雄二さんだった


あたしの前に立って2人は下っ端の人を一発殴った


彼は鼻から鼻血を出して倒れた


手にはまだ彼の温もりが気持ち悪いぐらいに残ってる


ほっとしたら力が抜けてその場に倒れ込んだ


「おぃ!おぃ千紗!?」


どんどん遠ざかってゆく記憶


優しい人の声に包まれながらあたしは意識を手放した

















まぶしい光があたしの目を直撃する


目を開けると、そこには真っ白な天井があった


ここはどこだろう


あれ?あたし何でこんなところで寝てるの?