きれいな空、雲ひとつない晴天だ


こんなきれいな空にあたしは逢わないな...


こんなきれいな空に似合う女の子になりたかった


こんな手でこんな傷を負った顔でこんな最悪な性格をすべて消し去りたい、そう強く思った


空があたしを消し去ってほしかった、空で一生を終えたかった


あたしの幸せを返してください、あたしを救ってください


愛して愛して愛し抜いて...


愛を失ったあたしに愛を返してください


「千紗ちゃん」

「...ゆうちゃん」


ゆうちゃんがあたしに軽く手を振りながら近づいてきた


すっと隣に腰掛けてあたしと一緒に空を見上げた


「ゆうちゃん怒ってないの?」

「怒ってないよ、だって我を失うほど怖い思いをしたんだから当然だよ。千紗ちゃんは、俺らと出会う前まで普通の女の子だったんだから」


普通の女の子?


あきちゃん達とはどう違うの?


じゃぁ裕美は普通の女の子じゃないの?


ゆうちゃんから視線をずらして空を再び見上げる


「空はどうして毎日きれいなんだろう」

「え?」

「あたしの心は汚れてる、汚れてるんだ。空はどうしてきれいでいられるんだろう」


ゆうちゃんは空を見上げたまま考え込んでしまった


綺麗でいられる方法を知りたい


「空は、大きな夢をもって毎日過ごしてるんじゃないかな」


大きな夢?


「悲しみや苦しみを乗り越えるためには大きな夢をもち続けてそれに向かって毎日を頑張って生きてるんだよ」