このにおいを消すために香水を買いにきた


「これとかどう?」

「いいですね!これにしますか?」


う~んと悩みながらいろんな香水のにおいをかいだ


「いっぱいのにおいが混ざっちゃってどれがどれだか分からなくなっちゃった」


笑いながらそう言うと、翔もつられて笑った


「俺もです」


あたし達は普通のカップルに見えるかな?


もし、翔があたしの彼氏だったらどうなってたんだろう


翔は一途そうだし、彼女を大切にしそう


いいなぁ、こんな人に愛される女の子は


あきちゃん、もしかしたらもう恋人出来ちゃってるかもしれない


あたしのことなんて忘れて恋人と一緒に居るかもしれない


何でこんなに心がずきずきするんだろう


こんなに痛くなるなんて、あたしって前に進めてないんだね


当然のように時間が過ぎて行くこの世界で、どれだけあたしは無駄な時間を過ごしたんだろう


この時間も無駄な時間なんだろうな


夜なんて無駄すぎる時間だ


あんな奴に抱かれて、あんな奴に暴力振るわれて


無駄意外の何物でもない時間


「帰ろうか、もうそろそろなおちゃん帰ってきちゃう」

「その前に、なにか食べモノ買いに行きましょう」

「いいよ、今日もあたしなにも食べたくない」



外へ出かけると、翔はいつもあたしを食べ物屋さんへ連れて行きたがる


それはあたしが一日で1食しか食べないから、心配してだろう


だって、食べれないんだもん。食べちゃったら嘔吐しちゃうんだもん