長い長い夜が終わって、やっとなおちゃんから解放されることには朝になっていた


朝、自分の部屋でいつものように泣いていると、翔が部屋をノックした


「...はい」

「翔です、千紗さん入りますよ?」


翔がいつものように部屋に入ってきた、ぐったりとしているあたしを見て翔はを支えながらあたしを起こした


これもいつものことだ


翔がくる時間帯はなおちゃんが出て行ったあと


ここからあたしの自由時間が始まる


「...気持ち悪い」

「お水持ってきますね」


毎朝毎朝こんなことの繰り返しで、吐くことになれてしまった


「昨晩はなにされましたか?」

「根性焼きされた、手当てしてくれる?」


また増えた根性焼き、今回で何回目だろうか


数え切れないほどの根性焼きを経験してきたのに、痛みは消えるはない


いっそのこと麻酔でも売って痛さを感じなくしたい


医者に行きたい、でもいけない


行きたいのに行けないのは辛くて、今でも涙が出そうだ


少しでも気がゆるむと涙が止まらなくなる


だから、いつだってあたしは気をはってなきゃいけない


泣いちゃだめ、泣いちゃったらなおちゃんの思う壺だから


泣かない、あたしは絶対なおちゃんの前でも翔の前でも泣かない


「翔、今日はどこに行く?」

「今日はお家でゆっくりしてましょう」

「いや、外に出たいの」


こんな部屋1秒でもいたくない


なおちゃんのにおいが入り混じったあたしの部屋になんかいたくない


「そうだ、今日は香水買ってこようかな」