そして、泣きじゃくるママの姿


怒ってるパパの姿


遊の姿はなくて、居たのは裕美と波留とあたるちゃんだった


「かえ...らなきゃ」

「え?逢いたかったんじゃないんですか?」


逢えない、あんな状況で会いに行ったら...警察があたしを取り調べするだろう


「翔、帰らなきゃ」

「千紗さん、逢いたかったんじゃないんですか?」

「警察がいるの...」


警察に過剰反応を見せた翔


翔は手をぎゅっと握って、その場で目を伏せた


あたしはそんな翔を不思議に見つめていた


「翔、行く?」

「千紗さんは、辛くないんですか?」


辛い?そういえば、あたし死にたいとは思ったけど辛いとは一度も思わなかったな


「辛いとは思わないけど、死にたいって思った」

「俺、龍王やめたいんです」


龍王をやめたい?まさか翔の口からそんなこと聞くなんて思わなかった


翔はなおちゃんをしたってそうだったけど、そうでもないのかな


「直さんは怖いです、だからやめたいんです」


やめたい...か


「あたしが救って見せる、あきちゃんに頼んであげるからね!」

「あきちゃんって吉野彬人さんですか?」

「ん?そうよ。あたしの彼氏」


にっこり微笑んで翔に話すと、翔は目を大きく開いた


「千紗さんはなに者なんですか?遊の姉貴だったり、彬人さんの女だったり、なのにどうして今は直さんの家に居るんですか?」


どうして...か