「はい、正直分からなかったです。でもマジマジ見ると似てる」


そう言って翔があたしに顔を近づけてきた


「ふふっ、そう?」

「はい!」


2人して大口を開けて笑っていると、玄関が開く音が聞こえた


「千紗...起きたのか!?」

「はい!今朝起きました」


翔があわててなおちゃんに近づいていく


あたしをそれをぼーっと眺めていた


「ねぇ、あたしいつになったら家に帰してもらえるの?」


家に帰ってママとパパに会いたいんだけど


「一生かえさねぇよ?」

「ねぇ、買い物行きたいんだけど」

「行って来いよ、こないだの金残ってんだろ?」

「翔行こう」


服を着て、なおちゃんの顔を見ずに隣をすっと通りすぎて家を出た


意外に自由なんだな


「ねぇ翔、あたしのお願い聞いてくれる?」


歩いて歩いて歩き疲れたあたしは公園のブランコに腰を下ろした


翔はあたしの前にすっと立っている


「聞ける範囲なら」

「家に帰りたい...」


翔の目を見て目と口調で訴えた


「家に帰して」

「無理です」


何で!?何で返してくれないの?なおちゃんが怖いから?


「家に帰りたいの、お願い」

「ダメです」