「千紗さん、これどこに置きますか?」

「そこに置いて?」


動き回ってると、痛みが和らいでいった


あたしが段ボールを開けて、それを翔が運んでくれた


翔は周りの人よりは身長が小さいほうで、身長が小さいのに力はすごく強かった


力持ちで、人の気配りが上手だった


「ねぇ、あたしどれだけ眠っていたの?」

「ざっと1週間ぐらいですかね」


あんだけの力で1週間寝込むなんて


あきちゃん達はあんなの受けても寝込むことなかった


相当腹筋を鍛えてるのかな


「翔は何歳?」

「俺ですか?俺は中3です」


中3...遊と同じ


「遊と同じね」

「遊?」


あっそっか、あたしが遊の姉ってこと知らないんだっけ


「遊はね、あたしの弟」

「そうなんですか、名字は何ですか?俺知ってるかも」


名字を言ってしまえば翔はあたしから逃げるだろうか


翔はあたしの付き人をやめるだろうか


徐々にあたしは翔に心を開いていった


「羽柴...遊」

「...え」


やっぱり、驚くんだね


「中学のナンバーワンの羽柴遊の姉貴!?」

「うん、そうなの。分からないでしょ?」