投げた携帯を手にとってぎゅっと胸の前で握った


電源切ったけど、いらないけど、とられるのはヤダ


もしかしたら、あきちゃんからまた連絡がくるかもしれない


最後のつなぎだから...もし本当にあたしが耐えきれなくなったらままかパパに電話して、一緒に話しあってもらいたい


だから、携帯だけは自分のそばに置いておきたい


「返して携帯!」

「いやだ、お前連絡とるつもりだろ?」

「とらないもん!信用してよ」


何で信用してくれないの!?どうして?!


なおちゃんはやっぱり変わった、昔はこんなことしなかったのに


昔はあたしが誰と話そうと誰と居ようと何もいってこなかったのに


いつからあたしは信用がなくなったの?


...それとも、彼女にひどい振られ方下から?


「...元カノ」


あたしがぼそっとつぶやいた言葉に、なおちゃんが怒りに満ちたような眼をしてきた


やっぱり元カノなんだね?


「元カノに、浮気された?」

「ちげぇよ」

「じゃー、元カノに....」


元カノと連呼していたあたしのお腹をグーで殴ってきた


「グッ...ゴホッ...っ」


お腹を殴られた痛さで涙が眼からこぼれおちる


お腹を抱えながらあたしはその場で倒れ込んだ


「携帯もらってくからな」

「か...えして...」


あたしの意識がもうろうとした時に、なおちゃんは携帯をもって部屋から出て行った


意識を手放して、そのまま死んだように眠った