「千紗さん!」


遠くから、付き人の声が聞こえる


「しっかりしてください!」


何でそんなにあわててるの?あたしなにしてるの?


「そんなところに居たら危ないですよ!」


危ない?どこ?


下を見てみればたくさんの車とたくさんの人々...


でもなんでだろう、どうして車や人が小さく見えるんだろう


あたし大きくなっちゃったのかな?


ふっ、そんなわけないよね


そんなマンガみたいな世界に...現実はそんな簡単じゃない


「千紗さん!!」


大きな声がしたかと思えば、あたしを誰かが後ろに引っ張った


思いっきり地面にたたきつけられ、痛いと思って涙があふれる


この涙はいたいからじゃない


あたしのやろうとしていたことに対しての後悔の涙


死んでしまいたかった。でも死ぬのが怖かったから一歩を踏み出せなかった


もう少し、強かったら死ねたのかな?


「離して!」


バッと手をはらってその場に立ってあたしは走り去った


「待てっ!」


あたしは運動音痴で、勉強もできなくて、親をいっぱい困らせて...


でも、それでもママとパパは優しくあたしを愛してくれて...


そして、あきちゃんに出会って、好きな人に愛される喜びを知って...


でも引き裂かれて...あたしの人生に何が残ってるの?