そう考えたら、なおちゃんが気の毒で涙が出てきた


「かわいそうだね」

「は?」

「なおちゃんはあたしが見てきた誰よりもかわいそう」


なおちゃんの顔を思いっきり睨みつけ、自分の手をなおちゃんの手にそえた


「俺がかわいそう?」


何の冗談?とでも言いたげな顔をしてあたしを見てきた


「だって、頼る仲間も守る仲間も信用する仲間もいないんでしょ?そんななおちゃんがあきちゃんに勝てるわけがない」


フッと冷たく鼻で笑うと胸倉をつかむ手握力が強まった


「う....っ」


あたしの表情が歪む


それを嬉しそうに楽しそうに眺めるなおちゃんを無償に叩きたくなった


「は...っなせ!」


あたしの声が聞こえたのか、なおちゃんの思考が変わったのかあたしを離してくれた


「ゲホッ...」


何度かせきこんであたしを見下ろしてるなおちゃんを睨みつける


「あたしまで殺すのね」

「お前がこないんなら今から殺しに行ってやる」


なおちゃんがあたしに背を向けて歩き出した


こいつ、本当にするつもりなの?


あきちゃんをこれ以上苦しめないでよ


あきちゃんは、たくさんの人が死んでくところをあの目で見てくる死んで自分を責め続けてるのに、これ以上になく傷ついたはずなのに


まだあきちゃんを苦しめようとするの?


あたし守りたい、あきちゃんを守りたいよ


あたしがなおちゃんのところに戻れば、あきちゃんは苦しまずに済むの?


そんなんだったらあたしなおちゃんのところへ戻る