「もしもし。千紗?」


ーーーーえっ?


なんで、電話かかってくるの?


最悪、あきちゃんがいるのに


「どうしたの、千絵」


あたしは、姉のことを普段は"千絵"と呼んでいる


久しぶりすぎて、驚いてしまった


聞き慣れた声は透き通っていて、相変わらず綺麗だった


「明日当たりに、帰ろうと思うんだけどママいる?」


帰ってくる?誰が?千絵が?


「急にどうして?」

「秀が出張行くから、そのついでにあたしも帰ろうかと思って」


秀さん出張なんだ、そっか


「ママパートでいないよ、帰ってきなよ」


いくら苦手だからって、やな態度はとっちゃダメだよね


「そう、じゃあ千紘連れて帰るね」

「了解、待ってる」


通話を切って机の上に携帯を置いた


帰ってくる、もう少しで抗争が始まるのに..…最悪なタイミングだ


さっきとはまた違うため息をついてしたを向いた


よりによって明日だなんて


「千紗、お湯どうやって止めるんだ?」