「圭」

「な…に…?」

「少ししつこいですよ。私が大丈夫だと言ったら大丈夫なんです。自分の体のことは自分が一番分かってますから。」

「っ…!!!」

 
圭は整った顔を歪ませ、今にも泣き出しそうに瞳を揺らしている。


…あぁやっぱりだめだな
こういう‘悲しそう’な表情を見ても何も感じない
“無感情”…その言葉がぴったり当てはまる
罪悪感なんて湧かない
きっと今の私は冷たい目で圭を見ているのでしょうね

「…すいません少し言い過ぎました。圭は私のことを心配してくださったんですよね?こんな私を気遣ってくれてありがとうございます。」
 
形だけの…口先だけの感謝の言葉
心も感情も何もこもってない、風船並みに軽い言葉

だけどそんな言葉で、圭は少し照れたような仕草をする
 
言葉って便利ですよね
どんなに形だけの言葉でも、何かしら伝わるのですから
その人の脳内で、勝手に都合よく変換され、脚色されて…ね



本当今更だけど、やっぱり私は心のどこかが欠けている欠陥品ですね。
欠けた破片は何処かに落としてきてしまったから、もう元には戻らないし、戻せない
 
…もう引き返せないところまで堕ちているのに、戻るもないだろ


『ククク…そうだよなァ?今更戻れるわけないよなァ?それに、戻る気なんてさらさらないだろう?お前』

 
………あぁやっぱりばれてたか。結構イケると思ったんだけどな
さすがだね


『ふん。当たり前だ。お前のことなら何でも分かるぜ?おまえが欠陥品だから俺ができたんだし?なァ?夕雲…いや…表の俺』
 
 
そうだったね夜雲(ヨウ)…ううん、裏の僕。