「何よその顔は」
「いや、無事だったから良いけど、危ないなぁと思って……けれど、何故それで廊下に?」
「分かんない。ベランダから落ちてからのことは覚えてない……」
多分、落ちた時に気を失ったんだ。
奇妙な話だなぁ。
「ま、覚えてないんだしいくら考えても無駄無駄。それより、ここの住所と最寄り駅教えてよ」
早く帰らないと。
きっとお母さんが心配しているはずだ。
「あぁ…」
そう言って男は部屋から出ていった。
しばらくすると、男は紙に住所と最寄り駅を書いて持ってきてくれた。
何だ、家から近いじゃない。
あたしが今いる所は、1駅隣りの所だった。